パス・ツールシステムフロー例
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高性能・高濃度バチルス菌の採用と予備発酵槽が急速発酵を実現
高性能・高濃度バチルス菌
「パス・ツール」には、長野県伊那市の伊那中央衛生センターで研究された高性能・高濃度バチルス菌を使用。炭水化物、蛋白質、脂肪の分解性に優れ、短時間に増殖し急速な発酵を実現します。また、アンモニア・硫化水素・アミンなどの臭気成分を分解する高い能力を持つほか、乾燥や低温などの悪条件にも胞子を形成して増殖した菌体を高濃度に維持します。
写真上 糸状になり活動が活発化した状態(倍率:400倍)
写真下 活動が収束し、胞子になる状況(倍率:400倍)
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予備発酵槽と本発酵装置
「パス・ツール」は、予備発酵槽と本発酵装置を組み合わせた新方式によって急速発酵を実現。予備発酵槽では混合による原材料の練り込みと空隙の減少を防止するために、連続攪拌を行わず菌の増殖を助けます。また、本発酵装置は予備発酵を行った原材料を低速で切り返しながら、さらに発酵・分解を進めるとともに原材料中の水分を蒸発させます。
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破砕と発酵-2つの処理が大幅減容を実現
破砕減容
原材料を発酵槽に投入する前に、適度な粒径に破砕します。破砕による減容化率は、貝などを含む海生生物の場合50%~70%に達し、1日当たりの処理量を増加させる場合にも有効です。
発酵減容
高性能・高濃度バチルス菌によって有機物を発酵・分解し、水分と炭酸ガスを発散させて減容します。発酵・分解による減容化率は、有機汚泥の場合で60%前後に達し、破砕減容とともに原材料を減容します。
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C/N比の調整とロータリー型発酵槽により低臭気を実現
C/N比の調整
発酵処理前には主・副材料の成分分析を行い、C/N比に応じて発酵促進剤(C:炭素源、N:窒素源)を投入して発酵・分解し最適な環境を作り出すとともに、発酵中の臭気の発生を防止します。
(C/N比とは、全炭素(C)と全窒素(N)との比率で,「炭素率」ともいいます。)
ロータリー型発酵槽
本発酵装置は密閉式のロータリー型発酵槽を採用しており、堆積形発酵槽やオープンタイプの処理システムで発生する臭気の拡散がありません。また、発酵槽内には「温度センサー」や「ガスセンサー」を内蔵しており、各センサーが感知した情報をパソコンに送信して、遠方からでも常時槽内の状況が監視できるなど、安全・確実な運転管理を実現しています。
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生成物と副資材を循環させてランニングコストを低減
水分調整材のリサイクル
有機性廃棄物は含水率が高く、破砕工程においても水分の浸出が予想されるため、モミガラや木材チップなどの水分調整材を投入し、バチルス菌が活動するのに適した含水率に調整しています。本システムでは発酵・分解が終了した生成物から水分調整材を分離・乾燥し、分解・消滅するまで数回にわたって再使用することで、ランニングコストに占める水分調整材の割合を低減しています。
生成物の循環利用
本システムによる生成物は、発酵処理ごとに投入する菌資材として再利用することができます。これは有機性廃棄物の発酵・分解を終了したバチルス菌が、同一の有機性廃棄物に対して発酵・分解能力が向上するという特長を利用したもので、ランニングコストの低減と処理時間の短縮に大きな効果を発揮します。
堆肥化試験の状況
発酵が、実際に貝や海草をどのように分解し、コンポスト化するのか、簡易的な試験を行った一例です。 |
試験結果 (1)発酵槽No.1 付着貝を破砕し、副資材と混合した結果、冬季の低温にも関わらず、発酵温度の上昇と臭気のないコンポストを生成しました。 (2)発酵槽No.2 海草と付着貝を破砕し、副資材と混合した結果、高い発酵温度を記録し、臭気のないコンポストを生成しました。 |
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バッチ試験材料
破砕した付着貝、水分調整剤、菌資材、発酵促進材
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バッチ試験装置
混合した試験材料を保温し発酵を促進させます
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発酵中
発酵により、60℃になり、減容が確認されます
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分別作業
発酵終了後、生成コンポストと再利用可能な水分調整材に分別します
堆肥試験
貝殻や海草を原料とする肥料について幼植物試験を行い、生育増進効果があることが確認されました。また2000年4月から近隣農家に委託して圃場施肥試験を継続して行なっています。
圃場施肥試験では、年二回の施肥にあわせて定期的に土壌成分分析を行い、長期的な影響を確認しています。
▶幼植物試験:内容 | |
対象植物 | 小松菜 |
供試土壌 | 褐色森林土 |
500mL(湿潤土:約350g)の供試土壌に対し任意施肥量のコンポストを混ぜ合わせている。 生育指数=畝長1m間の株数×茎数×平均茎径 |
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(左から標準区、貝生成コンポスト試験区、貝+海草生生成コンポスト試験区)
▶幼植物試験:結果 |
どちらの生成コンポストも共に、発芽、生育に障害となるものではなく、生育増進の効果があると認められました。 |
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▶圃場施肥試験:内容 | |
供試作物 | トウモロコシ・オクラ・レタス・小松菜・キュウリ・エダマメ大根 |
圃場の土壌 | 褐色土 |
施肥量 | 約2kg/m2 |
生成コンポストを施肥した区画では牛糞堆肥を施肥した区画に対して遜色ない収量を上げています。また、これまでのところ土壌の構成に大きな変動は認められません。 |
堆肥化工場の配置例
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▶海生生物処理設備の概要 | |
日処理能力 | 3 m3/日(破砕後2 m3/日) |
年間処理能力 | 総量1000 m3/日(約300日稼動) |
方 式 | 高性能・高濃度バチルス菌による好気性急速発酵処理方式 |
スペース | 建屋 629m2 |
臭気対策 | (1)低臭気のC/N比調整機能 (2)全ての装置は密閉構造 (3)排気はコンポスト脱臭装置で脱臭し、敷地境界線で法基準を満たす機能 |
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